羽田増便による都心低空飛行計画に反対する東京連絡会

羽田増便による低空飛行計画反対運動の現状と今後について

2016年5月24
羽田増便による都心低空飛行計画に反対する東京連絡会

1、はじめに
国土交通省が突然20147月に発表した羽田増便による東京都心および川崎コンビナート上の低空飛行計画の説明は、住民に対してではなく、関係自治体協議会を結成し、計画の理解を得ることからはじまりました。国土交通省は、ここで概ね理解を得たとして、20157月からこの3月まで住民説明会を2つのフェーズに分けて開催し、11.000人が参加、10.500件の意見を受けたと発表しています。もともと国土交通省のスケジュールでは、2つのフェーズに分けた説明会が終了したあと、今年の夏に「環境影響に配慮した方策の策定」として実施計画を発表するとしています。その後「フォローアップ」の期間なるものを設定していますが、現時点ではこれから何をやるのかまだ決めていないといいます。
これまでの過程で明確なのは、国土交通省が、飛行経路をこれまでの海域にとどめず、住宅密集地の都心上空低空飛行計画を既定の方針どおり推進しているということです。すでに実施に向けて南風時の着陸ルートのためILS(計器着陸装置)設置を含む羽田空港整備予算を獲得して、工事を進めるとしています。
国土交通省は、陸域の飛行に対しては6000フィート以上の高度を原則とし、海上をできる限り旋回し、騒音や安全に配慮してきた方針の大転換であり、都民から不安の声が上がっているのは当然のことです。しかし、国土交通省は、自治体や同議会の意見書、住民の意見も顧慮することに、なんの法的制約もないとの態度をとっています。都民、住民の不安を軽視し、無視し、計画の実行あるのみの国土交通省の態度は許しがたいことであります。

2、羽田増便による低空計画にたいする私たちの主張・要求について
(1)1960年代前半から1980年代にかけて羽田発着便の増加と航空機の大型化により発生した都内内陸部での騒音問題の解決のため、関係自治体、議会、住民が立ち上がり、東京都も並みをそろえて当時の運輸省に解決を強く迫りました。それにより羽田空港の沖合移転が実現して、低空で内陸に入らないルールが約束され、今日にいたっています。今回この歴史的な経緯が簡単に反故にされており、これまでのルールの継続を強く求めています。
(2)私たちは次のような問題点を指摘、住民の立場からの主張、要求をしてきました。
国土交通省は、「首都圏空港機能強化」の必要性について「国際競争力強化」「経済効果」「アジアとの交流強化」「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて」などの点をあげていますが、私たちは、環境悪化、住民生活の安全安心が脅かされることでの膨大なマイナス効果については無視されていることの不当性を追及してきました。
(3)国土交通省は、住民説明会の方法で「オープンハウス」型と称して、訪問者にフェイスツーフェイスで説明する方式をとっています。そこでだされた意見、質問をまとめて発表していますが、計画に反対の意見はほとんど取り上げず、すべて部分要求のように恣意的にまとめています。説明会の方式は、従来の教室型でおこない、責任ある担当者が対応すべきであると私たちは主張していますが、国土交通省は、実行しようとしていません。最も大きい問題は、関係住民が数百万人にもなる問題なのに、広く計画を知らせる手立てがきわめて不十分なことです。国土交通省は、HPで説明し、住民説明会も開いているとはいえ、圧倒的多数の住民が知らない状況にあります。そのことは、国土交通省もみとめていながら、低空飛行計画を進めているところに重大な問題があります。
(4)第1フェーズの意見・質問への回答が一問一答方式でHPにだされています。
住民が一番心配している騒音の問題、落下物の問題、大気汚染の問題、重大事故発生の問題など切実な問題にたいして極めて一般的な回答しかだされていません。例えば、飛行ルートにもとづいてどの地点でどれだけの高度と騒音が発生するのか詳細な説明を求めても、いまだにごく一部しか開示されていないという問題があります。
(5)この計画にたいし国会では、水野賢一参議院議員による質問主意書がだされています。政府はその答弁書で南風時の着陸ルートについて、一例として4ポイントでの飛行高度、騒音レベルを示しました。また都議会、区議会での承認が必要という法令があるかという質問にたいして「法令上の定めはない」としながらも、「関係地域の地方公共団体及び住民の方々の理解を得ることが重要」と答弁しています。しかし、田村智子参院議員が決算委員会で低空飛行計画を取り上げた質問では、騒音問題、落下物の問題、川崎コンビナート上の低空飛行の危険の問題、教室型の説明会開催を求める問題などの質問がされたが、国土交通大臣や同省高官は、極めて一般的な答弁をおこない、計画を実行するのみという姿勢がいっそう明らかになりました。
(6)南風時の着陸ルートの一部が横田空域に入ることが確認されています。しかし米軍との協議の情報は開示されておらず内容は不明です。米軍機優先の空域で民間機の航行にかえって危険性が増す懸念も指摘されています。

3、今後の反対運動と課題
以上のようにこの低空飛行計画が、まったく関係住民に知られていない状況であり、国土交通省に対しては、住民をはじめ各自治体や議会が決議や意見書で求めている丁寧で誠実な説明の実施を強く要請していきます。また「オープンハウス」型でなく国交省の責任ある人が出席する「教室型」の説明会開催を強く求めていきます。14区数百万の人に影響を及ぼす問題であり、きめ細かい説明会開催を要求していきます。あらゆる手段で周知を図るよう国土交通省はじめ自治体に求めていきます。
運動をさらに広めるため東京全体の運動と、さらに神奈川県など関係県の運動などと共同を強めていくようにします。
具体的には国会、都議会、区議会への請願署名、各種集会、学習会、パレード、チラシの配布、アンケートの実施などを進めます。
国会、都議会、区議会の各党会派に協力要請。自治体の長はじめ関係部局への申し入れなどを進めます。
町会、自治会、マンション管理組合、労働組合など各種団体、公共施設などへ低空飛行計画について説明するとともに協力の申し入れを進めます。
これらの活動を進めるため「羽田増便による都心低空飛行計画に反対する東京連絡会」が現在、江東区、江戸川区、品川区、目黒区三田地域の各会で構成されていますが、さらに大田区、文京区をはじめとする多数の区・地域の運動団体と連携を強めていきたいと考えています。
                  


以上 

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